さむい。
冬は職場が寒くなる。
うちの歯科医院は、1階が診療所。
2階がスタッフルームと院長室。
見た目が、こじんまりとした一軒家の歯科医院だ。
診療室は暖房がついているが、2階は換気のため窓をあけてエアコンもついていない。
朝の診療が終わって昼休みになると、院長は自分の部屋でお昼ごはんを食べて休憩をする。
私と受付のオハギさんは、暖房がついたスタッフルームにこもる。
お昼ごはんを食べ、お喋りし、自由な時間を過ごして、20分お昼寝。

うちの歯科医院は、昼休みに電話は出ない。
そのお昼寝の後、スタッフルームから出ると、むっちゃ寒い。
窓が全開だからだ。風ピューピュー。
病院には100%あるであろう、高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)に、私は急いでしがみつく。
お昼休み前に器具を滅菌しておくので、温かいのだ。
オートクレーブとは、高い圧力と温度(135℃)でウイルスや菌を滅するもの。
感染防止のために滅菌できるものは滅菌する。
圧力と熱に耐え切れるものはオートクレーブで滅菌可能だ。
シューシューと蒸気を出し、滅菌が終わって器具を出す時「あちち・・・」と火傷しそうなほどアチアチになる。
夏はあんなに熱くて嫌なやつだったのに、冬になると恋しくなる。
寒くなったいま、わたしは昼休みのあと彼に毎日抱きついている。
本題に入ろう。
我が家の次男坊ぴっち。
そのぴっちに、むし歯ができていると歯科検診の紙を渡された。
歯科衛生士として、これほどショックなことはない。
穴があったら入りたい。いや、いっそのこと埋めて登りたい。(マイクラのように)
保育園の先生からも、
「ぴっちゃん、虫歯があったみたいなんですけど・・・。
え〜〜〜〜〜???笑」
と言われた。
その「え〜〜〜〜〜〜?」が気になる。
まあ、オカンが歯科衛生士なのに、なぜ虫歯ができているのか不思議だったのだろう。
こっちが聞きたい。
4歳で虫歯を作ってしまった。
家に帰り、ぴっちを寝かせ、自分が学生時代に購入していた器具で
下顎の左右E(乳歯の1番奥の歯)の咬合面を探ると、グサッと入るところがあった。
やはり虫歯か・・・。
テンション下がる。
次の日すぐに職場に連れて行ったのだが、その話は後にして、今はぴっちに虫歯ができた原因を考えることにする。
目次
歯ブラシを噛んで毛先が広がっているものを使っている
子どもの歯ブラシをみなさんすぐに見てみましょう。
交換したばかりの歯ブラシがすでに!!!広がっている!!!!!
我が家のブラザーズにかかれば、3日もあれば歯ブラシの毛先がバサッと広がっている。
この歯ブラシ、1本65円ぐらいでスーパーより安い。
ガンガン噛まれてすぐにダメになるちびっ子の歯ブラシは、安いものがいい。
歯ブラシは定期的に変えようね。
・・・。
また脱線した。
わたしは、こどもの仕上げ磨きに、まあまあ時間をかけている。
そして、どんだけ毛先が広がった歯ブラシを使ってようが、わたしはプロだ。(一応)
虫歯になりやすい場所は、知識と経験から把握している。
今回むし歯になった歯も、できる限り磨いていたつもりだ。
実際、同じように広がっている歯ブラシを使っていても長男には虫歯はない。
他の原因を考えよう。
歯磨き中喋り続ける
次男ぴっちは、本当によく喋る。
おしゃべりが止まらないので、私が仕上げ磨き中でも、歯ブラシを口からどけてまで喋ろうとする。
その行為が何度も何度もくり返されるので、磨けていると思っていても磨き忘れていたのだろうか・・・。
嘔吐反射がキツい
奥歯の内側を磨こうとすると、「おえ゛!!!!」とえづく。
嘔吐反射がキツい。
それも分かっている。
分かっているから私はタフトブラシを使って磨く。
えづいて歯磨きが難しい方へ。
タフトブラシをいつもの歯ブラシにプラスして、奥歯に使ってみて。
そこまで気持ち悪くないはず。
これすらめんどくさいとか、歯医者で治してもらえばいいって考えは今すぐ捨てよう。
歯医者での治療の方が、よっぽど大変だよ?
レントゲン写真撮るのも気持ち悪いし、
嫌なところに器具がたくさん入るし、
バキュームで、ほっぺたとかベロ吸われるし。(私に)
「当たり前やん。」と思われそうなことを言うけど、自分が磨けないところにむし歯ができるからね。
タフトブラシは、子どもから大人までひとり一本持っとこう。
にしても、ぴっちのむし歯になった場所は、たまにタフトブラシでも磨いていたぞ。
歯ブラシや歯磨きだけの問題じゃなさそうだ。
砂糖たっぷりおやつが好き
子どもは甘いお菓子が好きだ。
ぴっちに至っては、もう糖分依存症だ。
私が、早産だったからか低体重で産んだからか、原因はよくわからんが、とにかく食べものに執着している。
毎年、サンタさんのプレゼントはお菓子を頼むほどで、今回はデカいチョコケーキを食べたいらしい。
ここで歯科衛生士らしいことを、言っておく。
子どもにお菓子は食べさせていいのだが、ダラダラとジュースやおやつを与えるのは良くない。
口の中が酸性になってじわじわ歯の表面が溶かされる。
さらに、虫歯菌の栄養が砂糖なので、歯には劣悪な環境が続くことになる。
甘いおやつを食べさせるのであれば、時間を決めて与えましょう。
それを守ればむし歯予防に繋がります!!!
・・・。
うちの子、むし歯になっちゃったね。
私の話、まだ聞いてくれる???笑
キシリトールは甘味料だけど歯垢にならない成分でできている。
外出時のぐずった時とかはこれでも口の中に入れといたら静かになるはず。

私が寝ている間にコソコソお菓子を食べている
長男ケンケンからのタレコミ。
「ママさ、よくお昼寝してるやろ??
その間、ぴっちがおやつ勝手に出して食べてんねん。」
もうやってることがクレヨンしんちゃん。
よく勝手にお菓子を食べてる姿を見たけど、そのままだ。
ズボンを脱いで、おしりをふる。
変な踊りを踊る。
パンツを頭にかぶる。(わたしもやった。)

パンツをかぶる一子相伝いらん。
わたしが、冷凍庫にチョコレートをしまっておくのをぴっちは知っている。
飴も、この前、勝手に開けて食べてたな。
エナメル質形成不全
今まで色々と書いてきたが、これもあるか・・・?
何が原因かはっきりわからないが、ぴっちは歯のエナメル質がしっかり形成されていないように見える。
むし歯になっている歯は、色が白濁していたり、黄色っぽい。
歯は赤ちゃんがお腹にいるときに作られていくのだが、その間に栄養が足りなかったり、何らかの出来事でうまく形成されないと、エナメル質形成不全になる。
と、ネットで調べると書かれていた。
歯の形成や石灰化される時期は、それぞれの歯によって違う。
ぴっちのむし歯になった歯が石灰化される頃に、生まれてしまったことも関係するのかな。
切迫早産で24時間点滴ガンガン入れたり、さらに早産だったもんな〜
そういうのも歯にも影響あるのか・・・?
どこかの先生、教えてください。
エナメル質形成不全の歯は、一般的な健全な歯より、外側が固くなっておらず虫歯になりやすい。
さらに乳歯は、歯の質が永久歯と比べて柔らかいので、むしばの進行も早いのだ。
ぴっちは飴もチョコもバリバリガリガリ噛み砕くような人間。
少しのむし歯でも弱い歯質にダメージで穴があき、その穴に食べかすが入り込んで深くむし歯ができたのかもしれない。
どちらにせよ、むし歯になったことは事実。
もう言い訳は致しません。
世の中の親御さんたち。
子どもに虫歯ができても自分を責めないで。
ここにも頑張っていたのに、むし歯にさせてしまったオカンがいますよ。
初めてのむし歯治療、ぴっち
嘔吐反射がキツく、治療が難しいぴっち。
タービンや綿を口腔内に入れただけでおえおえ言う。
院長みきたっちもお手上げ。
(もともと、子どもの治療はあまり好きじゃない。)
しょうがないので、虫歯の進行止めサホライド®︎だけ塗ってもらった。
治療が思うようにできない子どもは、サホライド®︎をむし歯に塗って、経過を見ることが多い。
サホライド®︎は、38%のフッ化ジアンミン銀という成分でできている。
銀によるタンパク質固定およびフッ化物による不溶性塩の生成により、象牙質細管を閉鎖し、う蝕の進行を抑制する
サホライド®︎液歯科用38%医薬品インタビューホームより
何言ってんの?と言う人に、大ざっぱに説明。

ちなみにう蝕(うしょく)は、むし歯のこと。
歯は表面にはエナメル質、中は象牙質(ぞうげしつ)でできてる。

象牙質は、ミネラル成分が70%で、残りがタンパク質でできている。
残り30%のタンパク質の中には、象牙細管っていう管が大量にあって、それが神経(歯髄)に繋がっておる。
その管を通って、外部からの刺激を感じて「痛い!!」と感じる。
むし歯の広がり方は、象牙細管の走行に従って進む。

もう意味わからんかったら、わからんでいい。
銀によるタンパク質固定およびフッ化物による不溶性塩の生成により、象牙質細管を閉鎖し、う蝕の進行を抑制する
サホライド®︎液歯科用38%医薬品インタビューホームより
要は、サホライドは、その象牙質細管の入口を封鎖し、むし歯がどんどん広がらないための薬なのだ。
ただし、この薬は万能薬というわけではない。
穴が空いていればそこにはまた食べかすが入り込み、むし歯菌の酸で溶かされる。
今回の処置は、治療ができない子どもへの応急処置。
そして、親がむし歯でできた穴の中の掃除を丁寧にしないといけない。

サホライドを塗ったむし歯は黒くなるので、むし歯が分かりやすくなった
今のところ、サホライドのおかげか、穴の中のむし歯は広がっていない。
治療ができるようになったら、ちゃんと埋めてもらおう。
今回、サホライドについて調べると、何度か塗り続けた方がいいと書いてあったので、また今度連れていくことにする。
頼むよ。みきたっち。
まとめ
とりあえず、子どものむし歯についてまとめよう。
むし歯の1番の原因は生活習慣が大きい。
お菓子をダラダラ食べさせたり、ジュースをちょこちょこ飲めるような環境はやめよう。
おやつは決まった時間に与えて、それ以外は水かお茶。
歯ブラシもなるべく毛先の広がっていない歯ブラシを使おう。
子どもは嘔吐反射がキツい子が多いので、タフトブラシなどを使って、噛み合わせや歯の内側を丁寧に磨くことも大切。
今回、ぴっちにむし歯ができた事に対するわたしの考察としては、
兄弟で同じように決まった時間だけにお菓子を与えて歯を磨いていても、むし歯のできやすさに差があった。
(盗み食いも原因かも知らんが)
それは先天性の生まれ持った歯の形、硬さ、唾液の質によって、むし歯になりやすい、なりにくいは関係するのだろう。
むし歯ができやすい子は、より丁寧な歯磨きと、歯磨き回数を増やすべきだろう。
今、むし歯がないと思っている子どもさんも、歯と歯の間の隠れたところにむし歯があることも多い。
糸ようじを2歳ぐらいから歯と歯の間の掃除を始めることをお勧めする。
みんな!!!!!歯磨けよ!!!!
