「歯磨きの回数って1日にどれぐらいするものですか?」
このような質問を以前頂き、実際にも現場で聞かれることがあります。
私、一個人の意見ですが、
「回数はこだわらなくていいよ。でも、寝る前の歯磨きには丁寧にして。」
と思っています。
もちろん歯磨きをサボってしまうと、むし歯や歯周病の原因となってしまいます。
だから、理想は食後の歯磨きを丁寧に、歯間ブラシや糸ようじなどの道具も使って歯と歯の間のお掃除をすることです。
でも、やりすぎには注意。
歯垢や歯石、歯の色を気にしてゴシゴシこすっていませんか?
食後やコーヒーなどを飲んだ後、すぐ歯を磨いていませんか??
それは、歯を自分ですり減らしている可能性があるのです。
減ってしまった歯は元には戻りません。
私がなぜ歯磨きを寝る前だけでもいいというのか。
すぐに歯磨きをしたらダメな理由をお伝えします。
そして、歯磨きをこまめにされる方にお勧めのはみがき粉と歯ブラシをお勧めします。
目次
歯磨きを寝る前にしたらいい理由
唾液には抗菌作用があり、口の中にいつも住んでいる細菌たち(常在菌)が増えないようにしています。
その唾液ですが、起きている間に唾液は出ています。(1日に1~1.5リットル出てるらしい。)
緊張すると唾を飲み込むことも多いと思うのですが、それは交感神経が働いているからです。
私たちは交感神経と副交感神経で内臓や体の動きを調整されています。
交感神経は、起床時・活動している時・ストレスが多いとき。
副交感神経は、リラックスしている時、寝ている時などです。
唾液は副交感神経によって分泌を抑制されるので、眠っている間は唾液の出る量が減ってしまいます。
さらに、知らず知らずに口を開けて寝ている人や、無呼吸症候群、鼻炎の方は、口の中が乾燥状態になります。
歯垢がベッタリと歯について、細菌が増えやすい状況になってしまい、そのまま虫歯や歯周病がじわじわ進んでしまうのです。
歯磨きの習慣がない人であれば、寝る前の歯磨きだけでも徹底してください。
夜型で、朝から眠る人なら朝磨いてください。
どうしても生活が不規則で歯を磨く時間が取れない方には、キシリトールやフッ素が入った食品を取るのも、応急処置としてはありかと思います。
↓ 虫歯の原因や、キシリトールについて書いていますので、合わせて読んでください。

もし、目が覚めて、口臭が気になったり、お口のネバつきが気になるようでしたら、それは細菌が増えている証拠。
丁寧な歯磨きをし、いちど歯医者さんでみてもらいましょう。
ほとんどの口臭の原因は、歯垢・虫歯・歯周病が原因ですよ〜。
食後すぐの歯磨きをやめてほしい理由
食後というよりは、何か飲み物を飲んだ後にすぐ歯を磨いている人が気になります。
ごはんの後に、歯磨きを急いでする人も少ないと思うのですが、飲み物は多いと思うんですよね。
ジュース、コーヒー、紅茶、お酒、お酢。
これらは、ph(酸性・アルカリ性のやつです。)が強い酸性で、歯がじわじわ溶かされている状態と言えます。
特に、お酢やコーラーなどを好んで常飲されている方、逆流性食道炎・摂食障害のある方(胃酸の影響)で、
虫歯ではないのに、酸で歯が溶けてしまう酸蝕歯(さんしょくし)という病名があるほどです。
話は戻って、その強い酸性の飲み物を飲んだ後、すぐにハブラシでゴシゴシこするとどうなるでしょう。
察しがつくと思います。
酸によって、歯が溶けているところに歯ブラシでゴシゴシ擦るとすり減ってしまうのです。
じゃあ、いつ磨けばいいの?という話になりますね。
私は食後3分ぐらいあけておいたらいいんじゃないかな?と思っています。
唾液には、酸性状態の口の中を中性に戻そうとする力もあります。
そのおかげで、私たちの歯は過酷な酸の地獄から守られているのです。
子どもの唾液に関する論文ですが、唾液の影響で3分弱経つとphが上昇した(中性に近づいた)と書かれているので、3分はあけておいたほうがいいのかな?と考えました。
↓ 他にも、私が気になる患者さんの行動や生活習慣を書いている記事があるので、よければ読んでみてください。

お勧め歯ブラシと歯磨き粉
今回は、こまめに歯を磨かれている方、知覚過敏が少し気になる方に、歯科衛生士の私も使っている商品をご紹介します。
歯科業界の人間なら、知らない人はいないかもしれません。
フッ素が医薬部外品で最高濃度の1450ppmが入っています。
フッ素は、歯に沈着し、酸などのダメージを中和してくれます。
そして歯の質を強くしてくれものです。
同じぐらいフッ素が入っているはみがき粉は他にもあるのですが、もう一つチェックアップのお勧めできるポイントは研磨剤が入っていないことです。
せっかく、フッ素が高濃度入っていても、研磨剤で歯を削ってしまっては意味がないですよね。
1日に1回しか歯を磨かない。という人は、研磨剤が入っていても問題ないのですが、
こまめに歯磨きをされている方は、磨いていない人よりは少しずつ歯がすり減っています。

川が流れている岩場の石が少しずつ削れているイメージです。
弱い力でも、持続した力が加われば固いものもすり減りますよね。
毎日3回以上歯磨きされている方は、研磨剤が入っていないものをお勧めします。
ちなみに、このチェックアップスタンダードは、取り扱っているお店が増えたので、一度近くのスーパーやドラッグストアで探してみてください。
なければこちらから買ってね。
これは、院長が探してきて、実際に歯科医院に置いているものです。
患者さんに、いつも勧めています。
私は家に50本ぐらいまとめ買いしておいています。
市販で売っているハブラシも使ったことはあるのですが、歯と歯茎の隙間に入り込む痛気持ちい感じと、毛のコシがいいものが見つからず、やっぱりこれに戻ります。
そんなに強くゴシゴシ磨かなくても、それなりに歯垢も取れていると思います。
1本120円ぐらいなら、スーパーで買うハブラシよりも安いですし、質もいいと思います。
普通のハブラシの大きさでは、奥にハブラシを入れるだけで気持ち悪くなる人がいます。
他にも歯並びがガタガタしていたり、口が小さい人はなかなかハブラシが歯に当たりにくい箇所も多いんですよね。
私がそんな方に実際にお勧めしているのが、「ルシェロ ピセラ P-20」です。
ハブラシのヘッド(頭)の部分が小さくて、嘔吐反射が起きやすい歯の内側にもスムーズに入ってくれます。
上の奥歯、外側もほっぺたや骨が邪魔して磨きにくい箇所で、虫歯や歯周病にもなりやすい場所です。
大きく口をあけずに閉じぎみで磨いてもらうとハブラシも入りやすいと思います。
ハブラシを入れると「オエ!!」となりやすい人は、このルシェロピセラ試してみてください。
まとめ
世の中には、神経質にならず歯を磨かない人と、丁寧に歯磨きを行う人がいることを仕事を通じて気づきました。
そして、まめに歯磨きをされている方ほど、歯がすり減っていたり、知覚過敏になっていたりとトラブルがあることも分かりました。
この記事を通して、私が伝えたいことは、「適度な力で歯磨きをしてほしい。」ことです。
私たちがごはんを食べて、口の中に住んでいる虫歯菌(常在菌)が歯垢になるまでの時間は、8時間ぐらいと言われています。
歯垢をほっておくと、そこから酸が出されるので、虫歯の原因になります。
そこから歯石という硬くこべりつくまでには、24時間かかるそうです。
歯石になってしまうと、歯医者で専門的な道具を使わないと取れません。

取れたとしても、一般人には歯石か歯か区別もつきにくいこともあり、歯を傷つける原因にもなるので、市販の歯石取りの道具は使わないでください!!
的確な場所にハブラシを当てて、毎食歯を磨いている人は、軽い力でも十分はみがきができていると考えられます。
なので。ゴシゴシこすることは不要です。
そして、飲食をした後にすぐに歯を磨くのも控えてください。
色が気になるのであっても、ゴシゴシこするのはやめてください。
色が気になるのであれば、コーヒーの着色落とす!ポリリン酸とメタリン酸含有の歯磨き粉を紹介!の最後の方にお勧めのはみがき粉を載せていますので、そちらを参考になさってください。
歯に回復機能はなく、減ってしまった歯は戻りません。
この記事を読んだ方は、少し自分のハミガキをする時の力加減や、今使っているはみがき粉をチェックしてみてください。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。