- 思っていたより勉強することが多い
- 実習についていけない
- レポートも多いしだるい
- 研修先で普通に働かされて、気も遣うし疲れる
- 指示されたことが上手くできず、怒られて辛い
- 汚い。臭い。他人の口を触るのも怖い
- 感染症が怖い
- 先生怖すぎ
- 道具の名前覚えられない
- やっている治療も理解できない
- 私、歯科衛生士・歯科助手に向いていない
これは私が13年前に全て思っていたことです。
今、同じようなことを感じている人がいれば、少しは気が晴れるのではないかと思い、この記事を書いた。
ちなみに私は、現在2人の子育てをしながら現役で歯科衛生士をしている。
産休・育休で長期間休んだことはあるものの、辞めずに続けている。

仕事がめっちゃできる衛生士なんちゃうの?
と思われるかもしれないが、全くそんなことない。
むしろできそこないだった。
そんな私がどのように学生時代を過ごして、歯科衛生士の仕事をしているか話をしよう。
目次
歯科衛生士なんて向いてない、辞めたい
15年前、私は歯科衛生士専門学校に入学し、学校の先生からの紹介で歯医者のバイトを始めた。
そこでは毎日コテンパンに怒られまくっていた。
器具の名前がほとんどカタカナで似たような形。
使う材料も粉と液、ちっちゃいものか長いモノばかり。

スプレッダー?プラガー??ポイント????シーラーーーーーーー??!!
少しずつ頭で理解してきても、怒られすぎて体が緊張で動かなくなる。
セメントを練っている間に固まる。
印象も練っている間に固まる。(アルジネートと石膏の練和がかなり難しかった。)
指示されたものを間違えて持っていく。
咬合紙の渡し方が悪い。
器具の受け渡しも下手。
ここまで出来の悪い人間もいなかったのだろう。
何度も何度も注意され、怒られ、先生のアシストについたら「もうあっち行って。」と言われるほど。

泣ける・・・・・・・
当然、学校の実習もうまくいかない。
SRPでマネキンの歯茎を破る。
バイトで何度もやっているはずなのに、セメントを練る実習でも固まる。
ラバーダム防湿の実習では、緊張のあまりクランプフォーセップスを握りしめすぎてクランプを真っ二つに割る。(自分の握力がこわい。)
研修期間に入れば、数ヶ月は同じ医院に毎日通うことになる。
そこでも事故は多発。
1番記憶に残っているのが、口腔外科の研修。
勤務医の先生がイライラ小姑のようでした。
「次に俺が使うものがわからないのか?!」
「君は歯科衛生士に向いていない。」
「辞めたほうがいい。」
さすがに泣いた。(レントゲン室にこもった)
「俺が院長なら君は絶対雇わない。」
最後に言い放たれた一言は今でも覚えている。(おのれ。)
こんなにもうまくいかない私だったのだが、絶対に学校をやめなかった。
家庭の事情もあり、奨学金を借りて行った学校。
やめれなかった。
ストレスも多かったし、「私、歯科衛生士に向いていない。」と悩んで泣くことも多かった。
歯科衛生士を頑張ろうと思ったきっかけ
そんな私だが、勉強だけはできた。(興味のある分野だけ)
見てる人は見てくれている。
毎日毎日、研修先の衛生士かドクターにレポートを提出するのだが、「あなたは理解はしているのね。体が動かないだけで。」と理解してもらえた。
バイト先では、「どうせ私は仕事もできないんだから、治療中の患者さんと先生の微妙な空気だけでもなんとかしよう。」と患者さんに積極的に声をかけるようにした。
先生も巻き込んで談笑をする。楽しかった。
すると、普段怒りっぱなしの先生が、(私が悪いのだけれど)
「セメントは練れないけど、君のそういうところが助かる。」とほめてくれた。
あの言葉が、私が歯科衛生士としてコミュニケーションを取ることを大切にするきっかけになった。
歯科衛生士としてのやりがい
ここまで見て、「かなりのできそこないやなー。」と思っただろう。
しかし、わたしは勉強はできた。
そして記憶力もあった。
国家資格は合格した。
就職先は専門学校の恩師に紹介してもらった医院に就職することになった。
初めて経験するブローチの綿線が巻けなかったり、セメントを吹き飛ばしたりと相変わらずだったが、そこで言われた院長からの言葉。
「君は歯科衛生士に向いている。不器用だけど。ぼくは初めからそこまでできると期待していない。」
この言葉でプレッシャーが消えた。
「治療の間に患者さんに声をかけたり、気にしてあげれる。歯科衛生士に大事なことができているよ。」
とても嬉しかったことを覚えている。
あれから13年。結婚・出産・育児をしながら仕事も続けている。
あの地獄のような研修のおかげで精神力は鍛えられた。
さすがに何年も同じ仕事を続けていると、そこまで大きな失敗はない。
(SRPは今でも難しいと思っているが。)
若気の至りで院長に文句を言ったこともあったが、何度も時間を割いて話を聞いてくれた。
院長が怒りすぎて、「地獄に落ちるで!!」と言われるほどの言い合いもしたが、今ではお金儲けの話や家庭内の話など、なんでもするほどの仲だ。
(今はふたりでブログの話をしている。)
同じく働いているスタッフや院長の家族の方々も、優しく見守ってくれてありがたい。

患者さんも面白い人たちが多くて、楽しい。
ストレスもあまり感じず仕事ができていることに、今では感謝しかない。
今、歯医者での仕事を辞めたいと悩んでいる人へ
歯科衛生士の学生の人は、今すごく辛い時期があったとしても頑張ってほしい。
はじめからうまくいかずに努力したほうが確実に身になると信じている。
私はこれまでにたくさんの先生、先輩歯科衛生士、技工士さん、患者さんにまで迷惑をかけることが多々あったが、少しでも感謝されるぐらいの衛生士になるように成長したいと今でも思っている。
現在、仕事をしている衛生士で、「歯科衛生士なんてなるんじゃなかった。」と思っている人がいるのなら、こんなポンコツがいたことを思い出してほしい。
自分に合う職場は絶対にあります。
うちの歯科医院みたいにね。
そして、歯科衛生士の仕事は本当は楽しいことを知って欲しい。
そう思っています。