私は歯科衛生士で2人の息子の母なので、友人や患者さんから乳歯について聞かれることが多いです。
乳歯の後ろから歯が生えてきている。
虫歯がある。
歯科検診って何歳から連れて行ったらいい?
歯並びが気になる。
子どもの口の中のトラブルは気になりますよね。
みなさんからよく聞かれることをまとめました。
目次
乳歯が残ったままで、後ろから歯が生えてきた。ほっといて大丈夫?
永久歯が後ろから生えてきている乳歯は、歯医者で抜歯をしてもらわなければいけません。
残念ながらその状態になると自然に抜けることは難しいです。

乳歯にも永久歯と同じように根っこ(歯根)があります。
乳歯が抜けたときに頭だけになっている理由は、下にいる永久歯が乳歯の根っこを吸収しながら押し出てくるから。
乳歯の横や後ろから歯列から外れて永久歯が生えてくるのをみることもあります。
その場合、永久歯が乳歯の根っこを吸収しきれていないことが多いです。
つまり、乳歯の根っこが長いまま残っているということです。
植木を想像してもらったら分かりやすいのですが、根の長い木は押しても引っ張ってもしっかり立っていますよね。
なかなか抜けません。
かといって、乳歯を置いたままにするのは、永久歯のポジションから見ると邪魔です。
乳歯がいると永久歯は自分のいるべき場所に入りこむことができず、ずれた位置で生えるしかない。
子どもの歯並びがガタガタになる前に、早めに抜歯してしまったほうが良いでしょう。
乳歯の虫歯は放置したらダメ?
乳歯の虫歯もきちんと治療しましょう。
その理由は4つあります。
- 後から生えてくる永久歯に影響が出る
- むし歯があると、口の中のむし歯菌の量が多くなる
- 必ず乳歯が生え変わるとは限らない
- むし歯で歯が失われると、歯並びの問題が出る
乳歯の下には永久歯が待機しています。
乳歯は永久歯より歯の質が柔らかく、中にある神経の部屋(歯髄)も、永久歯より大きいです。
そのことから、乳歯はむし歯になると、ひどくなりやすい(進行しやすい)と言えます。
下の絵を見てください。

むし歯が進んでいくと、神経まで侵されていきます。
C4と書かれているのは、神経がむし歯菌で感染を起こし、根っこに膿が溜まっている状態です。
この膿がどんどん大きく広がり骨を溶かしていきます。
乳歯がC4まで虫歯が進行すると、下で待機している永久歯が膿の影響で形成不全になり、エナメル質が白く濁っていたり、黄色が強く出たりと、悪い影響が出ます。
形成不全の歯は、歯の質も弱いので虫歯になりやすいといえるでしょう。
むし歯は細菌のすみかです。そこでむし歯菌は大量に増殖しています。
もし1本だけのむし歯と思っていても、口の中の細菌の数が多ければ、それだけ他の歯もむし歯になるリスクは高くなります。
永久歯は強いイメージがあるかもしれませんが、実は2・3年はかなり歯の質が弱いです。
2〜3年かけて、徐々に唾液から出るカルシウムやリン、フッ素などで強くなっていくのです。
生えたての永久歯は、むし歯菌に負けてしまいます。
乳歯のむし歯を治すことは、永久歯を守ることにつながるのです。
乳歯のあとに永久歯が生えてこない人がいます。
真ん中(正中から見て)から2番目と5番目の永久歯が特に多いのですが、他の歯でも見られることも多いです。
永久歯があるか確認する方法はレントゲン写真を撮るしかないのですが、子どものレントゲン撮影はそこまで頻繁に撮らないので、実際あるかないかは異常がある時にしか撮影しません。

じっとしない子どもも多いからね。
死ぬまで乳歯を使い続ける人もいるので、大事にしたいものです。
歯は毎日動いています。
乳歯は歯の質が柔らかくむし歯が進みやすい。
そのままむし歯を放置し歯が崩壊すると、隣の歯がむし歯でいなくなった歯のほうへ移動することもあります。
永久歯は乳歯より大きいので(例外もあり)、その狭くなったスペースに永久歯が入ろうとすると、キツすぎて広いところを探して歯並びとはずれた場所で生えようとします。
それが歯並びガタガタの原因のひとつです。
ただの乳歯のむし歯と思わず、早めに治療することをお勧めします。
永久歯と乳歯の見分け方を教えて。
正直、見分けるのはむずかしいです。
歯の色は、乳歯は青白い、永久歯は黄色っぽいです。
乳歯と永久歯の見分け方は、歯の形を覚えないといけないので容易ではありません。

第2乳臼歯(前から5番目)は、ぱっと見ると永久歯の第一大臼歯に似ているので、それなら分かるかな??
(何ゆーてんの?と思ったら無視して。笑)
分からなければ、直接歯医者で聞いてみてください。

私もよく間違える。笑
子どもが歯磨きを嫌がる

私の場合、暴れる息子を無理矢理でも足で固めて歯磨きしました。
歯医者の治療の方が、子どもに苦痛を与えるから。
患者さんの中には勘違いをしている人がいます。
それは歯医者で治療したからといってむし歯になった歯が完全に元に戻ることはありません。
さらにむし歯の治療は、唾液や水、劣悪な環境での戦いです。
その中で、歯を削り、レジンという樹脂などで歯の形を作り、整える。
子供の場合、唾液が多い、舌が動く、粘膜が動く、咳き込む、泣いて涙が出て、体が動く・・・
完璧な治療なんて不可能に近い。
話がそれましたが、いくら賢い子どもでも、歯の治療はいやなものです。
慣れるまでにかなり時間がかかる子どももいます。
私はそれを知っているので、プロレスのように体を固めてでも歯を磨きました。
緊急性の高い子どもの治療の時、大人数人が子どもの体を動かないように固めて治療することもありますからね。
タオルで巻いたり。
急に歯医者でされるんだったら、家でされるほうがいいでしょう。(一個人の意見です。)
痛くないようにほっぺたや唇を排除して、怖い顔をせずに、丁寧に磨きましょう。
力の入れ方が間違っていなければ、「痛い。」と言われても、続けて丁寧に歯垢を取り除きましょう。
歯磨きで気をつけたい場所は3つ。
- 噛み合わせ
- 歯と歯茎の境目(優しくね)
- 歯と歯の間(フロス使って)
歯磨きを続けていると、5歳6歳ぐらいになると自ら歯ブラシを取ってきて「仕上げして。」というようになりました。
継続は大事です。←こんな偉そうに言いつつ、我が子が虫歯になった記事は下からどうぞ。
歯医者の検診はいつから行く?
私が考える検診の時期は、歯が生え変わる6歳ぐらいをお勧めします。
6歳ぐらいから大人の歯が生えてきたり、抜けたりとお口の中が複雑な時期に入りますので、定期的にプロによる清掃をした方が良いと考えます。
子供の歯の虫歯予防方法とおすすめ商品教えて。
歯磨きに関しては、歯ブラシで噛み合わせと、歯と歯茎の境目。
糸ようじで歯と歯の間を掃除しましょう。
食生活では、ジュースやスポーツドリンク、甘いお菓子をダラダラ食べさせるのは良くないです。
3時なら3時と決まった時間におやつを与え、それ以外は水分はお茶か水にします。
子どもによっては、歯の質が柔らかい子もいるので、フッ素を取り入れることもお勧めします。
乳児から使えるフッ素。
低濃度のため赤ちゃんにも安心して使えます。
低濃度でもじわじわフッ素がエナメル質の深部まで入っていくのでお勧めです。
歯磨きの後のご褒美フッ素としてお勧めです。
フッカ第一スズという成分で少し歯の色が着色しやすい人もいるそうですが、味も美味しくて我が家の兄弟も喜んでつけています。(着色は気になりません)
ストロベリー・グレープ・ミント・オレンジ・ラムネ・ノーフレーバーの6種。
甘すぎず、大人にも使用できます。(もちろん砂糖不使用です)
まだハミガキ粉をつけるには早い幼児期にフッ素を取り入れるには最適かもしれません。
幼児は外出時、泣いたりぐずったりしますよね。
ママバッグの中には、お菓子が基本セットとして入っていることが多いです。
そのお菓子のラムネの代わりに、キシリトールラムネを与えるのもいいですよ。
キシリトールには、むし歯菌が分解できない甘さのものでできている人工甘味料。
外出時、歯磨きのできないときにもこちらを与えておくと少し安心です。
ガムは少し幼児には早いのですが、キシリトールについて書いた記事なので、良ければ読んでください。
こちらはフッ素も一緒に入っているので、うちでは毎日歯磨きの後のご褒美に食べさせています。
フッ素は歯の質を高めて、むし歯の菌や、砂糖などの酸から守ります。
味は他にもたくさんあるので、お子さんの好きな味を見つけてあげると続けることができると思います。
甘いものが好きな子どもにぴったりです。
子どもの歯並びが悪い。矯正はいつから始める?
子どもの歯科矯正は、犬歯の生え変わった頃が目安だそうですが、その子の成長によります。
というのも、こどもはまだ成長過程なので、取り外しのできる矯正装置から始めることが多いです。
取り外しができるということは、本人が嫌なら外してしまって、なかなか矯正が進まないことが多いです。
本人がやる気を出さなければ途中で辞めてしまった患者さんをよく見かけます。(特に男児)
子どもの歯の矯正は、本人の理解が1番大切です。
夜中に子どもが歯が痛いと泣き出した。どうしたらいい?
休日夜間の緊急歯科診療と調べれば、応急処置をしてくれるのでそちらに行ってください。
むし歯で痛みが出ている時は、急性の炎症ですので、冷たい氷や冷えピタなどで冷やしてあげてください。
間違っても温めないでください。
痛み止めもあるようなら飲ませてあげて、なるべく早く処置してもらいましょう。
子どもが歯をぶつけて抜けた時の対処法
きれいに根っこから抜けた場合(脱臼)、もう1度うめることができる可能性があります。
さっと水で洗い、生理食塩水(0.9%の食塩水)か牛乳、ドラッグストアなどで売っている経口補水液に入れて急いで歯医者に行きましょう。
抜けた歯についているギジャギジャしているものは歯根膜と言って、もう1度歯を再植するために重要なものなので、水洗いするときは軽く汚れを流す程度にしておいてください。
まとめ
よく普段から聞かれることをまとめてみました。
乳歯は大事ということ。
永久歯も生えたばかりだと弱いということ。
その歯にはフッ素がいいということ。
それだけでも覚えてもらえたらと思います。
この記事が皆さんのお役に立ちますように。